奪還
マダラ模様の雲が空を覆いつくす中、下界に幾筋の光が差し込んでいる。
「急げ、早く。世界にまだ光が届くうちに。」
焦燥にかられた後方に響く爆撃音。
「あいつらに越されるな、行け!」
隣で向きを変え、一人立ち向かう姿が通り過ぎていく。振り返る前に進め、目的の地へ。
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ツイッターの「#140文字小説」に投稿した内容を深掘りするコーナー
タイトル『奪還』
台風が過ぎ去り、晴れ間が覗く真っ黒な雲と白い雲を見つめていたので、冒頭の一行から始めようということは最初に決めていました。
もっと恋愛っぽい雰囲気をもたせた綺麗な話にしようと思ったのですが、全然違う方向に進んでしまいました。
なぜ?
イメージは、さらわれたお姫様を奪還しに行く男たちの一片です。
それなのに、出来上がった文章を見てみると私の中ではSFファンタジーなのですが、皆さんはどう感じられましたか?
エイリアンみたいな異形の生物がうごめく惑星に落とされた数人のクルー。
脱出する唯一の手段であるはずの宇宙船は遥か彼方に撃墜し、彼らはそこへ向かうことを決断します。
そして一人、また一人と戦いに敗れていく中、彼らはついに目的の地へ。ところが、背後からは侵入者として彼らを排除しようとする謎の生物たちが迫ってきます。
「俺のことはいいから、お前は先に行け!!」
そういう友に後ろ髪を引かれながらも、生き残った彼らは宇宙船を目指して走り続けます。
彼らは無事に脱出できるのか!?
そういうお話を想像してしまいました。
おかしいな。
甘い奪還劇ではなく、生死をかけた脱出劇への変貌。
もしかするとこれも140文字小説の醍醐味かもしれませんね。
限られた文字数だからこそ、読み手にとってそのときの情景や背景は変わるのかもしれません。