巡る秋の乙女心
引き寄せられた後頭部に、いつもと違う鼓動の音が聞こえてくる。
全然知らない男の顔をした見慣れた人。
肩ごしの耳に震える吐息と、少し体に響く重低音。
「俺じゃ、ダメなのか?」
答えられるはずもない。
硬直して動かない体は、窒息しそうなほどの息苦しさに溺れていた。#140文字小説
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タイトル『巡る秋の乙女心』
すみません。完全な好みで作成しました。
こんにちは、皐月うしこです。
キスという言葉を使わずに、無理矢理ものにされるシーンを書きたかった。
彼女・・・というより、これは一人称に近い言い回しをしているので、もはや「自分」と言ってもいいでしょう。
あなたは泣いているのか、怒っているのか、悲しんでいるのか、弱っているのか。
今、付き合っている人の相談をしているのか
会社で何か悩みごとを抱えているのか
進路に迷っているのか
夢に心が折れそうになっているのか
もう状況はなんでもいい!!
ただ、一人で自分の心を支える強さがないとき。
そんなときに、力強く引き寄せてくれて、優しく抱きしめてほしい。
全然知らない男の顔をした見慣れた人。
いつもと違う様子の彼。見たことのない真剣な表情。
聞いたことのない色っぽい声。
今まで一切何も感じなかったはずの「友達」から「異性」に変わる瞬間。
それは恋の始まり。
突然の出来事に思考回路は追い付かず、体が硬直してしまったあなたに追い打ちをかけるかのように彼はキスをしてきます。
「いや、ちょっと待って。」
そう言いたいのに、心のどこかでは「そうされたい」と思っていた自分を否定できない。
秋の空のようにころころと定まらない女心を連想させるドラマになっていれば最高です。
個人的に、私は異性間の友達は成り立たないと思っている派なので、友達から異性に変わる瞬間なんてありえないのですが・・・だって異性は最初から異性ですし、どこでどういう発展になるかはわからないじゃないですか。
「絶対」なんてこの世にはない。だからこそ面白い。
あーー。秋っていいな。恋の妄想が多くなる。