湿気城の吸血姫

湿気とカビの入り混じったほこりっぽい空気。
声をかけた美麗な青年は、次の瞬間、その首に噛みついた牙へ笑みをこぼす。

「そんなに焦らないでください。」

よしよしと撫でるその手に、柔らかな髪が甘えるように揺れている。
貪るように渇きを訴える少女の唇に、赤い色が混ざっていた。

————————————————————

ツイッターの「#140文字小説」に投稿した内容を深掘りするコーナー

タイトル『湿気城の吸血姫(しっけじょうのきゅうけつき)』

雨が降っているので、少し冷たさを含んだ雨のイメージから。
ファンタジー140文字小説を作成してみました。

少女は何年も眠りについていたお姫様。
少女を起こしたのは、執事なのか、恋人なのか、家族なのかはわかりません。ただ、わかっているのは・・・いきなり首に噛みつかれても、よしよしと笑いながら許るしてくれるばかりか、甘やかすように頭を撫でてくれる美形という素晴らしさ。

綿あめのように優しく、海のように器の広いイケメン。

私が大好きなポイントを詰め込みました。

最初、このイヤらしい男性の台詞は

「ゆっくりお飲みください。」

だったのですが、もっと別の言い回しはないのかと考えた結果、上記のような言葉になりました。

がっつくお姫様。
なだめる王子。

もっと欲しいと、無我夢中で飲みすぎて口から血をこぼすお姫様の姿さえ愛しいと、男性には狂ったような愛情をたずさえた眼差しで迎えてほしい。

あーーーーいいですね。ファンタジーは闇さえも色気に変えて、狂気までもスパイスに変えてくれるので素敵です。

最近ではスランプ気味だったこともあり、なかなかファンタジー要素の文章を執筆できなかったのですが、少しずつ感覚が戻ってきたように思います。
リハビリもかねて140文字小説を作成していますが、早く長編作品へも執筆着手できるように英気を養っていきたいと思います。