廃墟の歯車

しとしとと静寂に支配された世界の中で、長いまつ毛が微かに揺らぐ。
かつては栄光を極めたであろう人類の遺産。廃墟と人は言うが、彼女はその場所が気に入っていた。

「そこにいるのは、誰?」

目覚めた少女の鈴音のような声が波紋を呼ぶ。その刹那、出会った歯車は音を立てて回り始めた。

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ツイッターの「#140文字小説」に投稿した内容を深掘りするコーナー

タイトル『廃墟の歯車』

こんばんは、皐月うしこです。

最近、思うように世界観が表現できないことにスランプを感じていたのですが、こうして皆様にお付き合いいただき、少しずつ復活してきました。

それにしても恥ずかしい。
この作品で、めでたく15作品目となる140文字小説ですが、「しとしと」という冒頭で始まる小説が3つもありました。

無意識です。

雨の日に執筆がはかどるタイプのようで、雨の影響をもろに受けている証拠ですね。
また、次に雨が降ったときは「こいつ、しとしと書くぞ」とほくそ笑みながら楽しみに待っていただけると助かります。くやしいので、ボキャブラリーを増やして雨を表現するレパートリーを確保するつもりですけどね!!

さて、今回の作品は廃墟のような建物に好んで入り浸っている少女のお話。
崩壊した廃墟の鉄骨はところどころ植物に侵食されていてほしいです。そして雨の降る中、雫や水たまりが光の反射を受けてキラキラするような感じだとなお嬉しい。

私はキレイな景色を見るのがすごく好きなので、そういうファンタジー世界の絵があるとテンションが上がります。
頭の中のイメージを絵にできる絵描きさんは本当にすごいですね。誰か書いてくれないかなといつも思います。

「そこにいるのは、誰?」

何かの気配を感じて目を開けた少女は、ゆっくりと、おっとりとした可愛らしい声で静かに世界に問いかけます。

そして出会う。運命の歯車に。

そこからバトルのか、恋愛なのか、はたまた変な珍獣なのか。
140文字小説のいいところは、そこからの妄想や想像を読者様にゆだねられるところですね。アイデアだけを提供して、あとは自由に楽しめる小説が140文字という世界なのかもしれません。