お知らせ:マッチ売りの少女について
制作予定を公言しておりました「小説家になろう、冬の童話祭り2018」のお題作品。
「マッチ売りの少女」の執筆を取りやめることにいたしました。
理由は、転生ものはやっぱり肌に合わない模様・・・面白い妄想は膨らんだけど、締め切りまでに形に出来そうな気がしないからです。
1,000文字まで頑張ってみましたが、転生って私には難しい。違う人の体で、前世の自分が出てきて、現世の(それも異世界で成長してきた)自分と融合した上に、その世界の理の中で生きていくっていうのが私には表現できない・・・まだ転移は想像つくのですが、毎日考えるだけで創作意欲がそがれるテーマでしたので、このたび、思い切って取りやめることを決定しました。
楽しみにしていてくださった方は申し訳ありません。
設定だけ公開しますので、妄想を広げていただければ幸いです。
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【お題】マッチ売りの少女
少女は寒空の下、かごいっぱいに入ったマッチを見てため息をついています。
これをすべて売らなければ、家にいる父親に叱られます。
けれど少女はそんなことを嘆いてため息をついているのではありません。
父に叱られるよりももっとひどいことが今日、自分の身に降りかかることを嘆いているのです。
幼い頃に読んだ童話の主人公になっていることに気がついた少女は、かごから取り出したマッチをみつめて、なんとか悲劇を回避する方法を考えます。
もしもマッチ売りの少女が転生者だったら
「これでどうにかバッドエンド、回避できないかなぁ」
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【考案した設定】
転生者→関西のおばちゃん
飴を配るようにマッチを配り、他人の悩みごとを勝手に解決して、ダメ親父を更生させる!いつしか「マッチ売りのおばさん」として愛される・・・そんな物語。
↓↓↓非公開の冒頭をここだけで公開↓↓↓
年の暮れもせまる一年最後の夜。
冷たい灰色の雪がちらつく紺色の空の下で、か細い少女の声が響いていた。
「マッチ、マッチはいりませんか?」
かじかむ指先の感覚はほとんどない。
裸足に簡素なボロきれ。
痩せこけた腕にマッチ箱の詰まった籠を持ち、真冬の路上にたたずむ哀れな少女がひとり。
「マッチはいりませんか?」
一体誰が、忙しい合間を縫って、貧相な少女からマッチを買うというのだろうか。
それでも少女は、温かな家に帰ろうと行き交う人々に、ひとつでも多くのマッチを買ってもらわなければならなかった。
「マッチはいりませんか?」
もう何十回と繰り返した言葉に、少女の息も白く曇る。まるで降り積もる雪のように、暗い夜道の中で吐き出された息は、孤独な闇に紛れて消えていった。
金色の巻き毛に青い瞳、これがみすぼらしい服をしていなければどこぞのお姫様かと疑うような容姿も、その貧しさから痩せ細った身体しか浮かばない。凍える体を抱きしめてあげるだけのものを何一つ持ってはいなかった。
「誰もマッチなんかいらんやろ。」
ポツリと呟いてからしまったと思う。
少女には時々、妙なイントネーションをした言葉をつぶやく変な癖があった。
「いけない、またお父さんに怒られちゃう。」
少女はぷるぷると顔を横にふると、慌ててマッチ売りを再開させた。
少女の父親は、この寒空の下に少女を放り出すなり「マッチが全部売れるまで帰ってくるな。」と家の扉をしめてしまった。おかげで年の暮れだというのに、家には帰れそうにない。
「お母さんも私のこの喋り方のせいで、お父さんと仲が悪くなったのだから、気をつけないと。」
ぼそぼそと少女のつぶやきが聞こえてくる。
「ああ、いいにおいがする。お腹、すいたなぁ。」
路上を囲む家々からは美味しそうな食べ物の匂いが漂い、温かな光が零れ落ちている。
それを羨ましいと思っていたのは遠い昔。
自分にはもう、その幸せを手にすることは不可能に近いことだろう。
「あ、マッチはいりませんか?」
急ぎ足で行き交う人々もまばらになる頃、その少女の声は寂しく路上に響いていた。
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以上となります。
また書くような機会がありましたら、妄想をフル稼働したいと思いますので、その時はどうぞお付き合いくだされば幸いです。
応援ありがとうございました。
冬の童話祭りは、すでに公開しています。
の2作品で参加いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。