羊雲の行方
広がった雲に遅れて、一人ぼっちの羊が空をかけていく。
「早くおいで。」
必死に手を伸ばしてたどり着く前に、彼らは形を変えて先へと進んでいく。
泣き出しそうな羊に、優しい風が言った。
「大丈夫。キミにはキミの形がある。」
急がなくてもいい。いつかきっと追いつくから。
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ツイッターの「#140文字小説」に投稿した内容を深掘りするコーナー
タイトル『羊雲の行方』
空を眺めるのが昔から好きなのですが、今回は空をみたままの情景から物語を書いてみました。
もこもこと可愛い羊の群れというか、広がった丸い雲から少し離れるように、ひとつの綿雲が浮かんでいたのと、風の流れからその綿雲が必死に頑張って雲の群れに追いつこうとしているように見えたので、そこからインスピレーションをもらいました。
最初はインスタグラム用に空の写真を撮っていただけだったのですが、思わずといったところでしょうか。
「 焦らなくても大丈夫。
みんなに追い付こうとしなくても大丈夫。
あなたに合ったスピードで、
いつかたどり着きたい場所を目指そう。
みんなと同じ形にならなくてもいいし
無理に合わせようとしなくてもいい。
大丈夫。世界はこんなに自由だから。 」
そういったメッセージ性を持たせたかったというのもあります。
管理され、監視され、自由に見えて協調性や調和を求められ、人と同じであることが正しいと教えられる。
個性が大事だといいながら、個性は必要ないとおさえつけられる。
矛盾と排他。
技術の発達により便利な世の中になりましたが、その分どこか息苦しく感じることもあります。
もっと自由に羽ばたいてもいいんじゃないでしょうか。
たった一度の人生です。
今しかなれない形や色。
今しかできない生き方や歩き方。
世界はたしかに理不尽で不平等かもしれませんが、それでもきっと自分をもっていれば楽しく生きていけると信じています。