新刊「チョコより甘いキスをしよう」
こんにちは!
バレンタインに勝手にチャレンジしていた「チョコより甘いキスをしよう」企画を含む甘ぁぁあああい話を全部で22話収録した本が完成しました!!
その名も「Kiss&Love DREAM SELECT」覚えられない!!!
ブラスタキス夢本。そう、ただそれだけ。
新発売ブラックスター夢本
だいぶ耐性がついたとはいえ、根っからの夢女子として育ってきた私は、いまだにヒロイン名固定表記に違和感を覚えてしまうので・・・ツイッター等で公開している通り名前を出さない方法で作成しています。ただ、ヒロイン像は公式を意識しています(口調や性格はなるべく準じているつもり)
ツイッターで公開したものに少し手を加えて、ラストシーンが変更になっていたりする話があったりなかったり。新しい気持ちで読んでいただけると嬉しいです。ね。
掲載キャスト
ケイ
銀星
ギィ
ソテツ
黒曜
晶
鷹見
リンドウ
メノウ
真珠
ミズキ
藍
モクレン
クー
カスミ
偏りがあってすみません。書きやすいキャラとそうじゃないキャラがいるうえに、どうしても相互さんよりにキャラが増えちゃう・・・もっと色んなキャラを書けるようにがんばりますね!!!
私の推しはソテツ!!!かっこいいよーーーー!!!
知ってると思うけど・・・やばいよ。
公式が爆弾ヤバいのどんどん投げてくるから、どんどん沈んで溺れてるよーーー!!
ブラスタ考察
第1章というか、シーズン1の考察は特設ページにもUPしているので気軽に読んでいってください。第2シーズンの考察はまだ全然追い付いてないのですが、シーズン1が出会いならシーズン2は過去。って感じ。
ちょっと忙しい時期なので手が回ってないけど、考察もちゃんとやっていきたいし、小説もどんどん書いていきたい!!!
そんなこんなで、急ぎ足ではありますがこれからもよろしくお願いします。
試し読み「チョコより甘いキスをしよう」
ツイッターでドンさんがイラストを添えてくれた黒曜のお話をコチラでもご紹介。まだブラスタを知らない人にも魅力が届いてくれたらいいな。
『獣の舌に甘い余韻を』with黒曜
冷えた唇が妙な現実味を帯びて、口の中が溶けるほど熱い。コートごと抱きしめられた身体は逃げることを諦めたのか、黒曜の腕の中で大人しく吐息を差し出していた。何度も角度を変え、噛みつくキスが優しいなど、言っても誰も信じてはくれない。
「こく…ょ…~っッ」
非常階段に腰かけた黒曜にまたがり、求められる舌の熱にあてられる。逃げないように腰と後頭部に回された腕は、時間を経過するごとに甘さを増し、当初の力強さを和らげるように添えられる。隠すことの出来ない恥ずかしさを連れたまま、もういい加減、力の入らない身体を休ませてあげたかった。
「ッ…っん…ぁ」
都会のビルに冷やされた風が肌を撫でていくのに不思議と寒くないのは、きっと口内で混ざりあう濃厚な甘さのせいだろう。
「ッ!?」
うっすらと瞳をあけて後悔する。長いまつ毛、形のいい唇がまるで獣のように迫ってくる。
「逃がすかよ」
静かに囁く低音がくすぐったい。ほろ苦いビターの香りと、渋い煙草の味が重なって、真冬の空の下で知る黒曜とのキスは思いがけない記憶を刻むことになってしまった。
「黒曜さん、ここにいたんですか」
いると思って非常階段に顔を出したら、案の定そこに黒曜はいた。
「なに、こんな場所まで探しにきてんだよ。お前がいると、くつろげるもんもくつろげねぇ」
「あ、休憩時間の邪魔をしてすみません」
心底迷惑そうな顔。ちょうど真ん中よりも少し上の段に腰かけて、吹きさらしの風に吐いた煙を乗せる。獣の縄張りのように一瞬見えた境界線。思わずすくんだ足は、じっと黒曜を見上げたまま立ち止まる。
「ったく、風邪ひいても知らねぇぞ」
煙草を指で挟んだ声が、上から静かに降ってくる。
「で?」
「え?」
「こんな場所まで来たんだ。俺に何か用事でもあるんじゃねぇのか?」
最後の一口を肺に送り込んでから、黒曜の指先は煙草を消した。
「これを渡そうと思って」
風に乗って流れていく煙を横目に、薄れた境界線の内側に足を踏み入れる。さえぎる壁のない階段で、小さな足音は高い場所にいる黒曜の瞳に吸い込まれるように響いては消えていく。
「バレンタインのチョコレートです」
気づけば自然にその紙袋を黒曜に差し出していた。小さな箱が入った小さな紙袋。腕を伸ばして、触れるか触れないかの距離で黒曜が受け取ってくれるのを待っていた。
「なっ、なんですか?」
じっと見下ろしたまま微動だにしない黒曜に疑心が生まれる。自分のしている行動に何かおかしな部分があっただろうかと不安が急に胸をつく。
「……ぁ」
ふいに下から差し込まれた手が、指を連れていくように紙袋を受け取っていた。
「律儀なこった」
「義務でやってるんじゃないですよ?」
「へぇ」
「ちゃんと黒曜さんのことを考えて選びました」
残された指先の余韻に戸惑いながら、なんとか黒曜の眼差しに答えを吐き出す。それが黒曜にどう響いたのかはわからない。ただ少しだけ目を細めた黒曜の仕草に、何か考えを巡らせていることだけが安易に伝わって来た。
「だったら、こっちに来て証明してみろよ」
余韻を残した指先を通り抜けて、掴まれた手首が体を宙に舞わせる。
「嘘じゃねぇんならな」
どうしてこんなことになったのか。
悪戯に見上げてくる黒曜にまたがった態勢で落ち着いた現状に、混乱が視界を狂わせる。
「あっ、あの」
「いいから食わせろ」
俺は今両手がふさがっている、と腰に手をまわした獣が不機嫌に告げる。何がどうしてこうなったのか、理解や説明を求めている暇はなさそうだった。落ち着かない鼓動が包みをあけて箱を取り出し、そのうちのひとつをつまんで黒曜の口の中に放り込む。
「お、美味しい、ですか?」
「自分で確かめてみろよ」
「ッん…っ…ぁ」
「どうだ?」
後頭部を引き寄せられたついでに重なった唇。
「甘くて、少し苦いです」
燃えるように赤い髪が目の前で踊って、「ああ、悪くねぇ」と同じ瞳で優美に微笑む。時折、肌を撫でるビルの風が凍り付くほど冷たいのに、寒さを感じないのはきっと黒曜のせいに違いない。
「誘ったのはお前だ。今さら逃げるってのは、なしだぜ」
非常階段で二人きり。互いの熱が溶けて混ざりあうまで、甘くて苦いチョコレートを。
(完)
本はコチラから
チョコより甘いキスシリーズ。季節は少しさかのぼってしまいますが、お気に召しましたらぜひ手に取ってごらんください。