ゆらりゆらりとカーテンが手招きする先で、振り向いたキミの瞳が、鋭い視線でこちらを射貫いてくる。

「こらっ。」

誰にも聞こえない。空気にも似た小声の叱責に、優越感を得た欠伸が、くすりと眠気の風を溶け込ませていく。 ...

風がホホをなぞる。
世界はこんなにも美しいと、眼下に広がる光景をみて、記憶の片隅に眠っていた横顔を思い出した。

「大きくなったら、一緒にこの町を出よう。」

今はもう誰もこの町にはいない。
何も疑 ...

暗い闇の中で神々しく煌く月を携えながら、彼はひとりそっと口を歪める。
闇に溶け込んだ黒い顔で吐き出された息の重さに、思わず彼を崇めていた足達が一歩さがった。

「待ちくたびれたぞ。」

その瞬間、闇は影とな ...

小説の書き方を聞かれたので、久しぶりに真面目な話を書いてみようと思います。
(※あくまで独学による個人の見解です。現在の私なりの書き方を述べているだけですので、苦情は一切受け付けません。)

私の小説の書く手順は全部 ...

モノトーンの鍵盤を叩いていると、いつも浮かぶ情景がそこにある。

「あなたが弾くとまるで物語ね。」

あの人は確かにそう言っていた。これだけ灰色に染まった世界の中で、瞼の裏に映る譜面だけが鮮やかに色づいている、と。 ...


こんにちは、皐月うしこです。
ツイッターで140文字小説を更新してきましたが、ついに連載にまで手を出してしまいました。

その名も「假素魔(カリスマ)家の日常」

ツイッターのモーメントで一気に読む ...

永遠に混ざり合うことのない世界を見つめながら男はそっとつぶやく。

「まるでキミと僕のようだ。」

違う性質をもちながら同じ特質をもつからこそ、どこまでも飽きることなくこの思いは広がっていくのだろう。
見る ...

月が彼方に沈む頃、一年に一度だけ許された悪魔の宴が終焉する。

「今年もとても楽しかったよ。」

雑踏の中で黒い彼らは声を殺して笑い合う。少女の甘い幻想を狂気の渦で奪った悪魔は、イタズラに笑う口元を三日月形に歪めた ...

久しぶりの極短小説を書いてみました。
「夜蝶」以来の短い小説となりますが、まあサクッと読んでみてください。世界観は独特ですが、何か感じてもらえればいいかな・・・

「人はなぜ生涯をかけて一人の人を見つけるのか」

支えようと伸ばした手を思わず握りしめる。

「待っててね。もう少し、だから。」

今にも崩れ落ちそうな面影に、必死で笑顔を作るその姿に、何も言い返すことが出来なかった。

「うん。」

無力だと ...